03-5288-592603-5288-5926高齢者に限らず、食事は楽しみでもあり、必要な栄養を摂るための大切なものです。
ですが、高齢になるとどうしても、「食欲がわかない」「思うように食べられない」ということが多くなります。
さらには心身機能の低下があるため、食事にも十分な注意が必要となります。
もちろん食事をすることは、体に必要な栄養を取り入れるという大きな目的がありますが、高齢者の場合には、それだけを重視してしまうと、いつのまにか食べる量が減り、健康に支障が出る可能性も出てきます。
ここでは、高齢者の食事の重要性や注意点、おすすめメニューなどを紹介しましょう。
高齢になると食事をとりにくくなるといわれていますが、その理由は次のようなことが挙げられます。
高齢になると、活動量が減るため、自然と筋力も低下していきます。
何かを口に入れて食べるという動作は、食べ物を取り込む・かみ砕く・まとめる・飲み込むといった一連の動きが重要です。
どこか一つでも弱くなっていると、うまく食べることができません。
高齢者はあごの筋力も低下するので、こうした一連の動きが難しくなるのです。
また、飲み込む力も弱くなるため、食べ物が気管に入ってしまう「誤嚥」には注意が必要です。
高齢者の場合、歯の本数が少なくなります。
代わりに入れ歯を使っている人も多いですが、しっかりと噛むことが大変になるので、柔らかい食べ物を好むようになります。
その結果、さらにあごの筋力が低下するという悪循環に陥ってしまうのです。
高齢者は筋力の衰えだけでなく味覚も衰えてきます。
今までと同じ味付けをしていると物足りなく感じる人も多く、「おいしく感じないから食べる量が少なくなる」というケースも多いのです。
高齢者は食べにくい食材を敬遠してしまうために、必要な栄養素も不足しがちになります。
特に肉や野菜は、かみ砕く回数が多いために、敬遠されがちです。
そして簡単に食べられるお茶漬けやパンなどを好んでしまうため、結果としてたんぱく質やビタミン、ミネラルや食物繊維が不足する傾向があるのです。
「とにかく米だけ食べておけばいい」「手っ取り早くお腹を満たせればいい」と、栄養のバランスを考えずに食べていると、健康に支障が出てしまうかもしれません。
そして、カルシウムも、高齢者が不足しがちな栄養素の一つです。
カルシウムの減少は、骨がもろくなる原因になるので、食事で摂取したい栄養素の一つといえるでしょう。
また、栄養素ではないのですが、高齢者の場合には体内の水分量が減少しやすくなります。
そのうえ喉の渇きに鈍感になるため、脱水を起こしやすくなります。
食事で摂取する水分のほかにも、一日の中でこまめに水分摂取をすることが大切です。
高齢になると、かむ力や飲み込む力が弱くなるので、食べ物の大きさや柔らかさに注意しなければなりません。
一口大や刻みなど、食べやすい大きさにすることが重要です。
また、厚みのある肉は、調理前に肉たたきなどで薄くしておくと食べやすいですし、野菜は下茹でをしてから炒めるといいでしょう。
野菜を茹でて食べる場合には、歯茎でつぶせるくらいの柔らかさが目安で、最近では電子レンジを使って、野菜の下ごしらえをしている人も多いです。
そして、味付けも注意が必要です。
味覚が鈍くなっているからといって、濃い味付けにしてしまうと、塩分などの摂りすぎになってしまうので、塩分を使えないところは酸味や香りで工夫するといいでしょう。
1品は濃い味付けにして、他の塩分を抑えるというのも一つの方法です。
次に飲み込みやすくする工夫として、片栗粉などを使ったあんかけメニューがおすすめです。
飲み物には専用のとろみ剤が売られていますし、片栗粉を代用してもいいでしょう。
ミキサー状にすると食べやすく飲み込みやすいのですが、味付けはミキサー状にしてからのほうがおいしく仕上がります。
食器を使いやすいタイプに変更することでも、食欲が増すことがあるので、試す価値はありそうです。
もう一つ高齢者の食事について注意したいことは、栄養を摂らなければならないからといって、無理に食べさせようとすることです。
食事は高齢者にとって楽しみの一つでもあるので、義務的な行為にしてしまうと、それだけで食欲が落ちる可能性があります。
高齢者の食事でおすすめのメニューを2つ紹介しましょう。
鶏肉はたんぱく質が多くカロリーが低いので、高齢者の食事には取り入れたい食材です。
鶏肉は一口大や小さめに切って、酒・砂糖・塩・マヨネーズを混ぜたものに付け込んでおきます。
※この時に鶏肉を少したたいておくと、短時間で味がしみこみますし、簡単に噛むことができます。
次に、片栗粉をまぶして焼き、お好みのたれをかけて食べましょう。
付け合わせの野菜は、柔らかく茹でたものがおすすめです。
パンは高齢者には不向きは食材なのですが、それに反して好んでいる人が多い食材です。
そこで、食パンをハンドミキサーで細かくし、アガーを使ってまとめます。
形を整えて表面に味をつけると、食べやすいパンとして提供できるでしょう。
高齢者の食事は、食べやすい工夫をすることで、おいしく栄養を摂ることが可能です。
ですが、食材の下ごしらえや工夫は、意外に大変で、高齢者施設でも苦慮しているのではないでしょうか。
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