高齢になると、少しずつ食事量が少なくなる傾向があります。体を動かす機会が減ることで、食欲が減ってしまうこともあります。
そこで気になるのが、高齢者の食事量の目安です。高齢者が必要とする食事の目安を知っておけば、必要以上の心配をすることはありません。
今回は、高齢者の食事やその量・回数や必要な栄養などについて、解説していきましょう。
高齢になってくると、食事量が減少します。食欲旺盛で食事量が落ちない方もいらっしゃるかもしれませんが、一般的に年齢が上がるほど、食事量は減少する傾向があるのです。
ではなぜそういったことが起こるのか、見ていきましょう。
高齢者の場合、若いころに比べると行動範囲が狭くなります。それに伴って運動量も減るので、エネルギー消費量も少なくなります。結果として「お腹がすく」という感覚が鈍り、1回の食事量が少なくなりやすいわけです。
また、食事量の低下は、便秘を引き起こす原意にもなります。便秘はさらなる食欲低下をもたらす危険性があるので、食べない→出ない→だから食べないといった悪循環に陥りやすくなるのです。
「お腹がすかない」という理由以外に、「味覚が鈍る」「噛む力が弱くなる」といった機能低下が原因となることもあります。硬いものがうまく食べられない、飲みこみが悪くなった、味がよくわからないなど、食事をするうえで若いころとは違う違和感が多くなり、結果として食事量が少なくなってしまうのです。
高齢者の食事量の低下は、様々なリスクの原因になります。ですが、では実際にどれくらいの量を摂ればいいのか、目安を知っておくことが、そのリスクを防ぐことが一つの方法と言えるでしょう。
ここでは、普段あまり運動をしない75歳以上の高齢者についてお話しします。
1日に必要な摂取カロリーは1800kcalと言われています。もちろん、運動量の多い人は若干これより多くなりますが、家で過ごしている人の場合にはこの数値が目安となります。
1日の必要な摂取カロリーは1400kcalと言われています。女性の方が男性に比べると若干少ないですが、これも運動量によって違いが出てきます。
高齢者に必要な栄養素は、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミンが代表的でしょう。高齢者に限らずこの4つの栄養素はとても重要ですが、特に高齢者の場合には、意識して摂取を心がけることが大切なのです。
必要なカロリーがわかっても、実際の食事でどのような食材を使えばいいのかわかりにくいですよね。
そこでここでは、必要な栄養素の具体的な量をお話ししましょう。
人間の体、主に筋肉や血液、皮膚や臓器を構成するたんぱく質は、肉や魚・卵・豆腐や納豆・牛乳などに含まれています。1日に必要な摂取量は男性で50g、女性は40gが理想。摂取量が少ないと免疫機能が低下するため、病気にかかりやすくなります。そのため、しっかり摂取したい栄養素でもあります。
脂質は体温を保ち、エネルギーの源となりますが、不足するとエネルギー不足で疲れやすくなります。
ただし、脂質を摂りすぎると高脂血症や動脈硬化の原因になるので、適切な摂取量を心がけましょう。主な食材は、サラダ油やオリーブオイル、バターやマーガリン、肉の脂身で、1日の摂取量の目安は15g(大さじ1程度)です。
炭水化物はエネルギー源として重要ですが、特に脳が炭水化物からの糖分をエネルギー源として取り入れるため、不足すると判断力や注意力が低下する恐れがあります。高齢者の場合には、生活に直結した行動に支障が出やすいので、目安となる摂取量を摂りましょう。主な食材はごはん、パン、うどん、ジャガイモなどです。摂取量の目安は、毎食ごはんであれば茶碗1杯強ずつが理想ですが、パンやうどんと組み合わせると摂取しやすくなるでしょう。
体の調子を整える働きがあるビタミンは、水溶性だと体内にとどめておくことができないため、毎回の食事で補う必要があります。ニンジンやホウレン草といった緑黄色野菜や果物が主な食材で、緑黄色野菜は100g、淡色野菜は250g、果物は150gが目安となります。
なかなか必要な食事量が確保できない時には、様々な工夫をしてみましょう。噛む力が弱くなっているのであれば、柔らかく調理する・細かく刻む・飲みこみやすい食材を使うなどの工夫をすることで、食事量が増えるきっかけになります。
また、1回の食事で食べきれないというのであれば、食事回数を増やす方法もあります。小分けにして少しずつ確実に摂取してもらえればいいのです。
食事はバランスの取れた内容と量を、しっかり摂取することが大切です。味付けやご本人の好み、回数や調理法を工夫することで、毎回おいしく食事ができ、自然と健康が保たれるのではないでしょうか。
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