03-5288-592603-5288-5926介護食は、噛む力(咀嚼力)や飲みこむ力(嚥下力)が低下した人が、安全に食べられるよう調理された食事のことです。
中でも「ミキサー食」は、固形のものが食べづらい、十分に飲み込めない方に適した介護食になります。
ミキサー食はミキサーで飲みこみやすくした食事ですから、食材を細かく刻んだきざみ食や柔らかくしたソフト食などと作り方が異なります。
この記事では、介護食におけるミキサー食の作り方やミキサーの選び方を説明します。
そもそも、介護食のミキサー食とはどのような食事のことをいうのでしょうか。
ミキサー食とは、文字通り食べ物をミキサーにかけてポタージュ状にした食事のことです。
介護食を提供する際は、高齢者の誤嚥(ごえん)に気を付けなければなりません。
本来であれば口に入った食べ物は食道を通って胃に送られます。
誤嚥は上手く飲み込めないことで気道に入ってしまうという状態です。
誤嚥により気道が異物で塞がれると窒息を起こす恐れもあります。
また、食べ物と一緒に肺に入った細菌が繁殖すると誤嚥性肺炎を引き起こすことがあるため注意が必要です。
ミキサー食にすることで、噛む力や飲みこむ力がほとんどない人でも食事を摂ることが可能になります。
ミキサー食はきざみ食やソフト食よりも具材が細かくなっており、噛む必要がないことや飲み込む力が弱い高齢者でも食べやすいというメリットがあります。
また、胃腸に負担がかかりにくいことから、消化吸収に悪影響を及ぼす心配もありません。
一方、デメリットとしては水分が多いため、そのままの形状では誤嚥の恐れがあり、とろみ材(とろみ調整食品)でとろみをつける必要があることです。
調理の際は液状にするために、水分量が増えて食べきれないこともあるでしょう。
通常食に比べると見た目が悪くなるため、高齢者の食欲が沸かないことも施設側の課題となります。
盛り付けに工夫することで美味しそうに見せなければなりません。
ミキサー食に向いている食材とそうでない食材があるため、介護食のレシピを考える際に考慮する必要があります。
≪ミキサー食に適した食材≫
・ほうれん草など葉っぱの付いた野菜の穂先
・イモ類、豆類などでんぶん質の多いもの
・温野菜、肉じゃが、シチューなどかぼちゃや大根、ニンジンを使った煮物
≪ミキサー食に不適切な食材≫
・しいたけ、エノキ、なめこなどのキノコ類
・こんにゃく、イカ、タコなど弾力のあるもの
・ごぼう、ふき、アスパラガスなど繊維質の多い野菜
・脂肪分や汁気の少ない肉や魚類
ミキサー食を作る手順は、そんなに複雑なものではありません。
まず、食事において制限のない人の食事(通常食)を用意します。
主食に関しては、焚いたご飯ではなくお粥をミキサーにかけるのが一般的です。
米に対しての水量によっても滑らかさが左右されるため、より食べやすくするために重湯で硬さの調節をするのが望ましいです。
主菜や副菜に関しては、汁気がないものはミキサーにかける前に、適宜だし汁を加えてください。
食材の残りかすがなくなるまでミキサーにかけ、コーンポタージュ状になるようにとろみ剤でとろみを付けます。
とろみ調節食品を使う場合、食べ物や飲み物に入れて30秒程度かき混ぜるだけでよく、特に加熱する必要もないです。
片栗粉でとろみをつける場合は、加熱する必要があります。
スプーンで垂らした時にポタポタとしずくが残り、すぐに落ちる程度の粘度を目安としましょう。
出来あがりの見た目を良くするためには、色合いの違う食材を一緒にミキサーにかけないことがポイントです。
介護食を作るのに必須なのがミキサーなどのアイテムです。
ミキサーと一言でいってもその種類はさまざま。
フードプロセッサーなどと上手く使い分けて、安全な食事を提供しましょう。
≪ミキサー≫
食材を刻む・泡立てる・混ぜるなどの機能を備えています。
ポタージュやペーストを作るのに向いていますが、水分や容量が十分でないとミキサーの回転が悪くなります。
≪フードプロセッサー≫
食材を細かく刻んだりミンチ状にしたりできます。
野菜のみじん切りや混ぜる、こねるなどの機能を持ちます。
完全なペースト状にすることが難しいため、どちらかというとソフト食を作るのに向いています。
≪ブリクサー≫
病院や介護施設で食材をペースト状にするために製造された機器です。
機能は機種によりますが、食材の水分のみで滑らかなペースト状にすることができます。
すり鉢やすりこぎで代用可能ですが、手間や時間がかかります。
介護食は高齢者の健康にかかわる大切な食事です。
だからこそ、食材の調理法を正しく理解しておく必要があるでしょう。
施設での介護食やミキサー食の提供でお困りのご担当者さまは、給食委託や調理済み食材のサービス会社の利用をご検討してみてはいかがでしょうか？
調理の手間が省けるだけでなく、栄養面やおいしさを考慮したメニューで施設利用者に喜んでもらえるでしょう。
