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お役立ちコラム

きざみ食とはどんなもの?注意すべき点もチェック

加齢に伴う噛む力の衰えなどから、日々の食事に苦労している家族の姿を見れば、誰もが健康状態に不安を覚えてしまいますよね。
こうした高齢者向けの、介護食の第一段階と言えるのが「きざみ食」です。
今回はこれから初めて介護食の調理に臨む方々に向けて、きざみ食の解説と作り方、提供する際の注意点などを紹介します。

きざみ食とはどんなもの?


きざみ食とは、その字面(言葉)から推察できるとおり、食材を細かく刻んだ食事の相称です。
高齢者に特化した食事との先入観から、通常食とは一線を画すイメージを抱きがちですが、それは違います。
通常食と同じ食材を細かく刻むことで、咀嚼(そしゃく)する力が衰えた高齢者向けにアレンジしたものです。
きざみ食は、多くの高齢者施設や医療施設などで採用されています。
入居(入院)者の咀嚼(そしゃく)能力に応じ、個別の工夫が施されます。
大きいものであれば1cm角から、小さいものでは数mm単位のみじん切り状まで、それぞれの調理内容はさまざまです。

きざみ食に向いた人


きざみ食は、筋力低下あるいは歯がないために、咀嚼力が低下した人に適した食事です。
ちなみに飲み込む行為や唾液量に低下が見られない人は、必ずしもきざみ食を選択する必要はありません。
苦しそうな表情を浮かべていないか、噛み辛そうではないかなど、食事時の表情や仕草を、冷静に見極める対応が大切です。
飲み込む行為に問題がなければ、やや大きめ(2cm弱角)に切ったものを提供し、咀嚼能力の上限を再確認しましょう。

きざみ食のメリット


きざみ食は通常食を単に刻んだ食事であり、香りも風味も基本それほど変わらず、噛まずに食べられます。
食材が原型をとどめているため、食を楽しむ上で重要な「見た目」を楽しめます。

きざみ食のデメリット


きざみ食のデメリットとして、固形の食材ゆえの誤嚥(ごえん=誤って食材を気管に送り込んでしまう)のリスクが無視できません。
次に調理器具(包丁やまな板)を用いて繰り返し細かく刻むため、より一層食中毒に注意せねばなりません。
若い人と比較して免疫力が低下した、高齢者の食事であることを踏まえ、調理環境の衛生管理をより徹底する姿勢が望まれます。

きざみ食の作り方


きざみ食を調理する際の1番のポイントは、高齢者の食事能力に合った、より安全かつおいしく食べられる状態での提供です。
当事者の意向を聞き、食事中の表情や仕草を通じて最適な調理加減を見極め、必要であれば修正を重ねましょう。

代表的な調理方法


水分を含む・柔らかい食材であれば、基本的には食べやすい大きさにきざむだけで大丈夫です。
水分が少ない・固い食材は、煮る・卵とじにするなど、ひと手間加えて柔らかい食感にアレンジします。
揚げ物などの場合、食材に最初からたれやソースを含ませることで、ころもを含めた食材を柔らかくします。
キャベツなど歯応えがある葉野菜は、汁物の具材として提供します。
食材をあんかけ(とろみをつけた状態)状にすることも、食べやすさにつながる調理方法のひとつです。
魚の身は細かい骨を注意深く取り除き、原則ほぐして提供します。
じゃがいも・かぼちゃなどは、できるだけつぶし、きめ細やかで柔らかい状態で提供します。

調理上意識すべきポイント


きざみ食は、口の中でパサついたりせず、より噛みやすい状態にまとまりやすくなる効果を、食材に与える調理が施された料理です。
きざむ・つぶす・ほぐす・とろみをつけるなどの処置を終え、完成した料理を提供するだけでは、本当の意味での高齢者のケアとは言えません。
調理者自身が試食する、食事風景を観察して要修正点を見極める、意見や感想に耳を傾けるなど、常にさらなる向上心を持って調理に臨みましょう。
また先述のとおり、免疫力が低下した高齢者は、若い人であれば問題のない衛生状態においても、食中毒発症のリスクが懸念されます。
きざみ食調理用の器具に関しては、専用のものを確保の上、単なる洗浄だけにとどめず、日常的な消毒を徹底しましょう。

高齢者にきざみ食を出す際の注意点


きざみ食に限らず、いわゆる介護職の範疇に入る食事(ソフト食・.ミキサー食・嚥下食など)の提供に際しては、いくつかの注意点があります。
とりわけきざみ食に関しては、高齢者が自身の咀嚼もしくは飲み込む能力を超えた分量を頬張ってしまわぬよう、食事風景をしっかり注視しましょう。
介護食を提供する側には、被介護者に正しく食べさせるノウハウを理解し、実践できるスキルが望まれます。

食事前の注意点


落ち着いて食事を楽しめる環境を整えます。
食事前には当事者に排泄を済ませてもらい、気が散ることで食べ損なわぬよう、テレビを見ながらの食事はできるだけ回避します。
「いただきます」の前には掌の表裏をしっかり洗浄し、うがいなどで口腔内を一旦きれいな状態にします。
当事者の上半身を90度近くに起こし、食べ物がよりスムーズに食堂から胃へと運ばれる姿勢を保ちます。
目の前の食事の献立をわかりやすく伝え、好きな食材が入っていることを話題に、当事者の食欲を刺激してあげましょう。

食事中の注意点


きざみ食を自ら食べられる高齢者の場合、基本食事そのものの介助は不要ですが、表情や仕草は注視すべきです。
高齢者の多くは食事に時間を要して当然ですが、好物ばかりを焦って早く食べようとする人も見られます。
こうした行為が重大な事故の引き金となるため、とがめるのではなく、落ち着いてゆっくり食べられるよう、上手に話しかけてあげましょう。
食べるのに一生懸命で、食事中の水分補給がおろそかになっている場合は、お茶や水を飲むよう、上手に誘ってあげましょう。

食後の注意点


「ごちそうさま」をしてからすぐに食器を下げるのではなく、食べた分量や食べ残しの傾向から、健康状態を冷静に推察します。
食後の歯磨きや義歯(入れ歯など)の手入れを怠ることなく、口腔内を一旦清潔に整えます。
また食べてすぐに身体を横にすると、食物が逆流してしまい、嘔吐につながる可能性もあります。
しばらくは身体を起こした状態で、いわゆる食後の一服タイムを確保してあげましょう。

 

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