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お役立ちコラム

高齢者の献立はどんなものがいい?

高齢者の献立を日々考えて調理し続けるのは、台所担当者にとって大変です。
その日の気分や体調によって、食欲や嗜好が大きく変化する高齢者を前に、悩みが尽きない方は少なくありません。
今回は、高齢者が喜んで食べてくれる献立のヒント、踏まえておくべき関連知識や注意点、献立例などを紹介します。

高齢者の献立の考え方


高齢者の食事の考え方として「調理する側が無理なく提供し続けられる献立であること」が大切です。
栄養バランスや食べやすさなど、注意すべき点に意識が向いてしまうのは、家族として当然の心理です。
しかしながら、毎回家族とは別枠の献立を考えるとなれば、諸々の負担が膨らんでしまいます。
健康第一に特化した特別料理ではなく、大切な家族の一員のための献立を、以下のポイントを踏まえて考えましょう。

家族の献立に合わせる


高齢者にとって、家族と同じ食事を楽しめる環境は、大きな喜びです。
子どもなら「自分だけ特別」が嬉しく感じられるかもしれませんが、高齢者は必ずしもその限りではありません。
家族と同じ食材をベースに、食べやすさなどの安全面を視野に入れ、食材にひと工夫を施しましょう。
毎回別枠の献立を考える必要もなく、調理時間の短縮や食費軽減などのメリットにもつながります。

かしこく簡単手軽に調理する


毎回十分な手間暇をかけ過ぎず、むしろ簡単手軽な調理を意識しましょう。
偏り過ぎさえしなければ、冷凍食品の活用は、かしこい時短調理のひとつです。
電子レンジなど、キッチンにある調理器具を今一度見直すことで、より効率の良い調理法を考えてみましょう。

食べたいものを提供する


高齢者にとって一番のごちそうは、食べたいものが目の前に並んだ状態です。
何が食べたいのかを見極められれば、自ずと新たな献立のヒントが思い浮かびます。
特定の好物を、毎回メインに据える必要はありません。
家族全員の献立とのバランスを考え、好みの味付けの料理を添えるなどで対応しましょう。

高齢者の献立の注意点


高齢者は加齢による身体能力の衰えから、摂取が必要な栄養のバランスが崩れがちです。
栄養バランスが崩れると、免疫力低下など、要介護状態につながるリスクが高まります。
また食べにくい料理の提供は、誤嚥(ごえん=誤って食物を気管に送り込んでしまう状態)につながりかねません。
高齢者に食事を提供する際には、栄養バランスと想定されるアクシデントを視野に入れた献立を考えましょう。

栄養バランスを重視する


栄養バランスを重視した献立のポイントとなるのが、炭水化物・脂質・たんぱく質の三大栄養素です。
ちなみにこれらにビタミン・ミネラルを加えたものが五大栄養素です。
高齢者の献立を考える際には、用いる食材に含まれる栄養素を、正しく知っておく基礎知識が求められます。
次にそれらがバランス良く摂取できる取り合わせや、中長期的な献立のローテーションを考えます。
台所担当者としては、なかなか大変な作業ですが、家族全員がおいしく健康を維持する上で、大切な作業です。
ひとつハードルを越えてしまえば、自身のスキルアップという達成感にもつながります。
試行錯誤を楽しみましょう。

食べにくい食材を避ける


高齢者にとって食べにくいと思われる食材をすべて避けてしまうと、自ずと献立に窮してしまいます。
栄養摂取上必要であれば、食べやすく工夫することで提供できますが、若い世代が感覚的に理解し辛いのも事実です。
あくまで一般的な関連知識として、以下の食材は「食べにくい」とされていることを知っておきましょう。
・卵の黄身やクッキー類など、まとまりを欠き、ポロポロこぼれ落ちやすいもの。
・焼き芋・ふかし芋などホクホクしたもの。
・おからやパン類など、パサつくもの。
・こんにゃく類など、弾力に富んでクニュクニュしたもの。
・揚げパン・フランスパンなど、食材単体の硬さが不均一なもの。

アクシデントを回避する


高齢者が食事を摂る際のアクシデントを回避するには、安全に食べやすくアレンジする工夫が大切です。
パサついて飲み込みにくいようであれば、飲み物と一緒に摂ることをすすめましょう。
あんかけ風に絡めてとろみをつけることでも、飲み込みやすくする効果が期待できます。
ホクホクした芋類であれば、牛乳やマヨネーズと混ぜることで、ぱさぱさした感覚を抑えられます。
また高齢者の食事の際に注意すべきアクシデントとして、やけどとケガが見過ごせません。
熱い食べ物を一気に口に入れてのやけどや、手が滑って食器を割ってしまうなど、予期せぬ展開も視野に入れて見守りましょう。

高齢者におすすめの献立例


高齢者におすすめの献立に共通するのが、和食の基本とされる「一汁三菜」です。
これは「主食+主菜1+副菜2+汁物」で構成されます。
この「一汁三菜」をベースに、「栄養バランス」「食べやすさ」に加え、見た目にも「おいしそう」と映る献立を考えましょう。

食が進む主食主菜


主食には、ごはん・パン・油脂類など、炭水化物や脂質が豊富な食材を選びます。
これらを食べることが、人間が活動する上で必要なエネルギーの摂取につながります。
メインのおかずや主菜には、肉類・魚類・卵・豆類など、たんぱく質を豊富に含む食材を用います。
これらの食材を提供は、人間の身体をつくる役割を担う、各種栄養素の摂取につながります。

好まれる副菜


副菜には、野菜・海藻類・キノコ類など、ビタミンやミネラルが豊富な食材を用います。
これらの栄養素はいずれも、身体の調子を整える働きを担っています。

嬉しいデザート


食後のデザートに高齢者が好むくだものを添えることで、食後のさっぱり感と満足感を満たしてあげましょう。
くだものに豊富に含まれる各種ビタミン・ミネラル・食物繊維の摂取は、健康の維持や疾病予防効果につながるとされています。
「終わり良ければすべて良し」は、高齢者の食事にも共通しています。
感謝の気持ちが伝わる「ごちそうさま」を、自然と言葉にしてもらえる献立を目指しましょう。

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